飼い主のいびきがうるさくて眠れない…
いびきは本人だけでなく、家族もいびきで目が覚めたりして周囲も影響ちゃうもんね。
何か改善方法はあるのかなぁ?
じゃあ、改善方法を教えるね!その前に、なぜいびきが起こるか説明するね!
いびきはなぜ起こる?
いびきは、上気道(下の図のような鼻から喉までの気道)が狭くなることによって起こります。上気道が完全に上気道が塞がれると睡眠時無呼吸が生じます。
普段起きているときは鼻や口から吸った空気は喉を通って肺から全身に伝わります。
これに対して、寝ている時というのは副交感神経の働きにより筋肉(骨格筋)の緊張が弱まります。そのため、重力の働きによって筋肉自体が下がります。覚醒時に下あごに置かれた舌は、寝ている時は奥にしまわれるような状態になります。のどちんこや口の上にある柔らかいひだ(軟口蓋)も奥に下がります。
これによって、覚醒していた状態と比べて気道が狭くなり、特にあおむけになった時は最も気道が狭くなります。この狭さの割合でいびきが発生するかどうかが変わってきます。よく太っている人はいびきが出るというイメージがありますが、肥満の人はのどにや舌にも脂肪がついているため気道自体が狭くなるため、いびきが発生してしまいます。
お酒を飲むといびきがうるさくなるのも、アルコールには筋肉の緊張弛緩させる作用があるため、気管の筋肉が緩んでしまうことにより、普段より大きないびきをかいてしまいます。
とても怖い睡眠時無呼吸症候群につながる恐れもある
睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている最中に気道が完全に塞がれ、一時的に呼吸が止まり、それを一定期間内に何度も繰り返す症状のことを指します。いびきの中でも特に大きいいびきをかくのが特徴です。
寝ている最中に呼吸が止まるため、寝ている最中も脳が指令を出して無理やり息をしようとさせます。結果として大きいいびきが発生します。また、寝ているときに息ができなくなるため、無理やり体を起こそうと働きます。そのため、眠りが浅くなり日中に疲れや強い眠気が発生します。
睡眠時無呼吸の重症患者では、酸素ボンベが必要なエベレストにいる状態や全力ダッシュ後の息切れた状態が一定期間かつ一時間に何回も繰り返している状態です。こんな状態が起こるため、深い眠りがほとんど発生せず、目も覚めやすい状態となり睡眠中にもかかわらず脳が休まらないのです。
寝ている最中に窒息死することはありませんが、徐々に体にとてつもない負荷をかけ続けています。睡眠時無呼吸の恐ろしい点は、睡眠中であるため本人の自覚症状があまりないことも問題です。睡眠時無呼吸に気づかず、単に寝つきが悪いとか、疲れがたまっているだけだろう、といって見過ごされやすいのです。
さらに睡眠時無呼吸が慢性的に続くことで、糖尿病や高血圧、さらには心筋梗塞といった心疾患、くも膜下出血や脳梗塞のような脳卒中のリスクが高まります。脳卒中に至っては、正常の人と比べて4倍リスクが高まるとも言われます。
参照リンク:日本呼吸学会/睡眠時無呼吸症候群(SAS)
特に心筋梗塞や脳梗塞では、場合によっては死に至ることにもつながります。また、心筋梗塞は激痛を伴ったり、脳卒中では、言葉がしゃべれなくなる言語障害や手足が麻痺して歩行や生活が難しくなるといった後遺症が残ることもあります。
子供の睡眠時無呼吸は、発達障害のような性格性になる恐れも
さらに、子供の睡眠時無呼吸ではさらに注意が必要です。子供の脳は成長途中であるため、この時期に睡眠時無呼吸を放置しておくと、脳の発達の阻害につながります。実際に、いびきが原因で不注意が多い性格や、抑うつ、あるいは攻撃的な性格になったという報告もあります。
この報告はノルウェーで行われた実験で、生後1歳6か月時点で睡眠が短かった子供が5歳児の時にどのような感情や行動的な問題を引き起こすかを研究したところ、感情的であったり、多動性や不注意が多くみられる、不安を感じたり、攻撃的な性格がみられるる比率が高かったと指摘がありました。寝不足によるイライラが大人でも起こりますが、子供の場合は性格を形成につながる恐れがあります。
子供のいびきが長く続くようでしたら一度病院へ相談することをお勧めします。
出典: Later Emotional and Behavioral Problems Associated With Sleep Problems in Toddlers
いびきが起こりやすい人の特徴
太っている人
先ほど説明したように、太っている人はのどや舌の気道周辺にも脂肪がつくことにより、気道が狭くなりいびきが発生します。
顎が小さい人・顎が後退している人
痩せていても、骨格のつくりで顎が小さい人や、顎が後退している人はいびきが発生しやすい傾向があります。
顎が小さいと、その分気道が小さくなるため、いびきが発生しやすくなります。
顎が後退している人は、舌の位置や軟口蓋(のどちんこ手前の柔らかい部分)が後ろに位置しており、結果として気道が狭くなる傾向にあります。
子供
子供のいびきの原因は、鼻づまりや扁桃腺の肥大の大きく二つです。
鼻づまり
子供の場合は、骨格の構造上無意識の状態の呼吸は鼻呼吸が優先されます。そのため、風邪やアレルギーで鼻づまりが起こってしまうと、空気の流れが遮られ、いびきが発生してしまいます。
扁桃・アデノイド肥大
子供は成長過程により一時的に扁桃腺が大きくなりやすい時期があります。それは子供は、免疫や抵抗力が低いため、細菌やウイルスを防ぐために扁桃腺やアデノイドが大きくなります。4~6歳頃をピークに、風邪の症状がなくても大きくなるのが特徴で、このころは扁桃腺・アデノイドが大きくなるので気道が狭くなり、一時的にいびきが出やすい傾向になります。生理的な扁桃肥大の場合は成長とともにいびきも軽減してきます。
ですが、生まれつき扁桃腺が肥大していたり、病気によって扁桃肥大が起こっている場合は年齢関係なくいびきが発生してしまいます。
高齢者
加齢による筋力の衰えもいびきにつながります。筋力低下により、のどちんこや軟口蓋などが緩みやすくなり、気道をふさいでしまうことでいびきが発生しやすくなります。
また、筋力低下で舌が薄くなることで、気道をすっぽり覆いやすくなり、いびきにもつながってしまいます。舌は味覚を感じたり、発音の際の役割だけではありません。食べ物を噛んでいる最中は舌が食べ物を支えたり、口から喉に運ぶ役割があります。加齢により、噛む力が弱まり柔らかい流動食が多くなったりすると舌の筋力が低下し、結果としていびきにつながる傾向として指摘されます。
寝酒
お酒を飲むんで寝ると、アルコールの作用により筋肉がいつもよりも弛緩しやすくなる影響でいびきが出やすくなります。酔っ払いの居眠りにいびきがしている姿が多く描かれているのは、アルコールの作用によるものです。
いびきの改善方法
脂肪を落とす
肥満体系の方は脂肪を落とすことです。
のどについた脂肪を落とすことにより、空気が遮られることがなくなるため、いびきが改善します。
横向きに寝る
横向きに寝ることもいびき対策としては効果的です。
仰向けで寝る時は重力が重なり、舌やのどちんこなどの扁桃腺が気道を防いでしまいますが、横に向くことで奥に沈みこむことを防ぐためです。
特に痩せている人でいびきに悩んでいる方におすすめです。脂肪が多い人は顎や首周辺についた脂肪があるため、横を向いても気道を塞ぎやすくい体勢となりなるため、効果としては弱まります。
CPAPを使う
特に睡眠時無呼吸患者が使うCPAP(シーパップ)という医療機器を用いることが有効です。CPAPは酸素マスクのように、鼻に当てて使用します。機械から空気が送り込まれるため、無理やり空気の通り道を作ることでいびきが軽減します。
使用には医師の診断が必要ですが、いびきの程度により保険適用も可能です。
CPAPの使用により、いびきの発生原因そのものは改善しませんが(例:肥満、骨格のつくり)、使い続けている限りいびきが軽減します。そのため、睡眠時無呼吸患者であっても、病気のリスクを防ぐことができます。
マウスピース
CPAPと同様にマウスピースもいびきに効果があるといわれています。
マウスピースの使用により顎が下がらなくなるため、気道が通りやすくなります。
手術
いびきの原因が体のつくりによる場合、手術で改善させる方法もあります。例えば、扁桃肥大により、いびきがひどく、呼吸や食事にも支障をきたすといった場合は、手術で摘出したり、切除することもあります。
日中の眠気や、疲れはいびきによるものかもしれない?
いびきは寝ている間に起こるので、本人はどのくらいいびきが酷いのか気づかないものです。疲れが溜まっていて、一時的ないびきが発生する分には問題ないのですが、慢性的に続くいびきは要注意です。
また日中の眠気やイライラ、疲れといった症状の原因がいびきから来ていることに気づかず、休日に寝だめをしてしまっても根本の原因が治っていないためにあまり改善されません。
眠りの浅さは仕事面でミスを起こしやすかったり、事故につながる危険性もはらんでいます。特に運転される方は注意が必要です。
もし、自分がどのくらいいびきが酷いか気になる方は、家族に聞いてみたり、ウェアラブル端末やアプリなどを参考にしてみることも有効です。
アプリやウェアラブル端末での計測は、実際の医療計測器ではありませんので、あくまでも目安として使用することをお勧めします。
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