ねぇねぇ、悦ちゃんは普段8時間眠っている?なかなか忙しかったりすると8時間寝てないから体に良くないなーって思っちゃうんだよね。
私は8時間眠ることもあるけど、私のベストは7時間半ぐらいかなぁ
睡眠に詳しい悦ちゃんでも普段8時間寝てないんだね。
ちなみに「睡眠は8時間がベスト」という考えはよくない考えなのよ。
え!そうなの!?知らなかった!じゃあ何時間が正解?
それはね…
この記事の概要
- 睡眠時間の目安
- 慣れによる睡眠負債の恐怖
- 睡眠負債をリセットするまでにかかる時間
- 睡眠時間と病気や死亡率の関連性
睡眠時間は何時間寝れば大丈夫?
成人の場合、必要な睡眠時間は人によって異なります!
参照:睡眠障害の対応と治療ガイドライン
必要な睡眠時間は人によって異なります。よく「8時間眠ると体に良い」と聞きますが、絶対に「8時間」ではなく、6時間未満でも大丈夫な人もいれば、9時間眠らないとダメな長時間睡眠者もいます。
実際にエジソンは4-5時間、やナポレオンは3時間のショートスリーパーで、反対にアインシュタインは睡眠時間10時間のロングスリーパーだったとか。このようにパフォーマンスを最大に発揮するのに、睡眠時間の確保はとても重要ですが、その時間は個人によるものです。
ちなみに、ショートスリーパーのエジソンはナポレオンは昼寝をとっていたため、トータルの睡眠時間で換算すると上記の睡眠時間より長く眠っており、効率的に睡眠をとっていたことが分かります。
目安は翌日すっきりした状態かどうか
それじゃあ何時間必要かわからないじゃんっ!
ごめんごめん、でも必要な睡眠時間を知るための目安はあるよ!
目安のポイントは、朝起きて、疲れが取れて体がすっきりしていると感じた日の睡眠時間が必要な睡眠時間です。
以下の例のように睡眠時間を変えて試してみて測ることができます。
【例】
- 6時間半 → もう少し寝たいという思いが強い、布団から起き上がるときに体が重い、日中強い眠気が来る
⇒睡眠が足りない - 7時間半 → 最初は眠いけど、眠気が比較的すぐとれる。体も軽い。昼寝をとれば午後以降の仕事に差し支えることはない。目覚ましがいるかどうか。
⇒ベストな睡眠時間 - 8時間半 → もう眠らないでよいと感じる。眠気はすぐとれる。体も軽い。昼寝をとれば午後以降の仕事に差し支えることはない
⇒少し多い程度 - 9時間 → 朝に何度も目が覚めるが、とりあえずもう少しだけ寝ておうというだらだらした眠り。起きた時にちょっとボーっとする。疲れはないが体が重い、午後以降も眠気があまりこない。
⇒眠りすぎ
上記の例の場合は、7-8時間が通常必要としている睡眠時間となります。
睡眠時間は変化する
加齢
お年寄りは睡眠が浅くなるから、どうしても睡眠が短くなってしまうよ。
高齢者になるにつれて、加齢により睡眠は浅くなり、睡眠時間が短くなってきます。そのため朝早くに起きてしまう。睡眠の変化は50代ごろに訪れてきます。50代になると深い睡眠が減り、さらに年齢を重ねるにつれて中途覚醒が増えていきます。
若いころはよく寝ていたけど、最近は若いころのように眠れなくて、朝早く起きてしまうという悩みは生理的によるものです。
季節
季節によっても睡眠時間は変化します。
冬は起きられないのは日が出ている時間の長さが夏と冬で異なるためです。また、夏と冬で太陽の明るさも異なります。この日照時間と明るさによりセロトニン・メラトニンの生成が変化することが考えられます。
「寝なくても案外大丈夫になった」は、睡眠不足に慣れているだけかも
問題なのは睡眠不足は慣れてしまうもの。だから、気づかずに隠れ慢性睡眠不足の人は多く存在します。
睡眠時間がどのくらい必要かどうか確認する方法に、すっきり起きられたかどうかが目安です、と説明をしました。
ですがこの質問には、ある程度眠る時間が確保できる人向けでもあります。
仕事や家事、育児、介護などで睡眠が不足した状態を続けていると、睡眠が短くても慣れてしまいます。体が短い睡眠時間に慣れてしまい、普段寝ている時間寝れば体が覚醒できるような体になってしまっているのです。
これにより「案外寝なくても平気」と錯覚してしまうのです。
ショートスリーパーは極わずか!
5時間未満でも活発的に行動できるショートスリーパー。ショートスリーパーかどうかは遺伝子で決まっています。実際には1%にも満たないとも言われています。
参考:三島和夫:ナショナルジオグラフィック日本版[短時間睡眠でも眠くならない 遺伝子変異を発見]
自分は寝なくても平気だ、自分は4時間しか寝ていないとか寝てない自慢している人であっても、疲れが取れず休日に寝だめをするような人はショートスリーパーとはいえず、睡眠不足状態といえます。
睡眠不足かどうかの判断基準は?
睡眠不足かどうかの判断基準は、
- 仕事の日と休みの日で睡眠時間が2時間以上違う
休みとそうでない日の睡眠時間に長時間の差がある人は、睡眠が足りていない証拠です。 - 日中の時間帯に強い眠気がある
仕事をしているにもかかわらず、強い眠気がある人は夜に十分な睡眠が確保できていない疑いがあります。 - すぐに眠れる
布団に入ってすぐに眠りにつく人は、寝つきと勘違いしがちですが実際は睡眠不足によるものが多いです。また、仕事中は交感神経が働き眠気が抑制されますが、通勤の電車やバスの中ですぐに眠りにつく場合も同様です。目を閉じた時に眠りにつくのが早い人は、睡眠不足を疑ってみましょう。
これらに当てはまる人は睡眠不足の可能性があります。
一度病気になってお仕事を休職したのですが、休職前まで「どこでもすぐ寝れる」状態でした。すぐ寝れることはいいことまで思っていました。でも、病気で休職中に自由に眠ってもいい時間ができると睡眠時間が落ち着き、「どこでも寝れる」ということがなくなりました。
これほど睡眠負債は知らず知らずのうちに溜まっていくものです。
慢性睡眠不足を直すには?
残念ながら人は寝だめによる睡眠は貯金は出来ず、睡眠の負債を返すしかありません。そのためには寝る以外の方法はありません。長時間の昼寝をとるとかえってリズムが崩れやすくなるため、早く寝る習慣をつけてすこしでも長く寝る習慣を取ることが大事です。
このグラフは、睡眠負債が解消されるまでにかかった時間を調べた実験です。平均睡眠時間が「7時間半」の8人の被験者に1日のうち14時間は好きなだけベットで寝ていいですよ、と伝え、好きなだけ寝てもらいました。実験序盤は10時間越えが1週間程度続きましたが、3週間もすると「8時間10分」程度に落ち着いていきました。
つまり睡眠負債という借金を返すには3週間もかかります。ようやく睡眠時間が落ち着いた実験後半の睡眠時間が、被験者にとって必要としていた睡眠時間なのです。
つまり、土日だけたくさん寝ても、結局平日に睡眠不足となり睡眠の借金はどんどん溜まっていきます。
寝る時間が短すぎたり、寝すぎでも病気や死亡率が高まる
国民の平均睡眠時間は?
厚生労働省の令和元年度の国民健康・栄養調査によると、睡眠時間が5時間未満の人は男女平均で8.8%いることが分かりました。
【年代ごとの1日の平均睡眠時間】
睡眠と死亡率の関係
短すぎる睡眠を続けるとどうなるでしょうか。
以下の表は睡眠時間と死亡率の関係を調査した結果のグラフです。
睡眠時間が短い理由は様々ですが、死亡率の割合は睡眠時間が短いほど高くなります。さらに、睡眠が長くても死亡率が高くなることも多くの調査から報告されています。長時間睡眠者の死亡率が高まる原因については現在でも分かっていません。本人が気づいていない病気があって結果として睡眠が長くなっているということも考えられます。
参考:JACC Study,玉腰暁子.睡眠時間と死亡との関係
病気と睡眠時間の関係
死亡率と睡眠時間の関連性がU字曲線を描いたように、睡眠不足、過度に眠ることも病気に関連してしまいます。
このうち、U字曲線を描く病気の一例として、うつ病、心臓疾患、糖尿病が挙げられます。
【うつ病と睡眠時間の相関関係】
不眠によるうつにつながる傾向もありますが、逆に眠気が強く睡眠を長くとる仮眠型のうつもあります。ストレスを抱えていたりすると、結果的に不眠や仮眠になりうつを発症する確率が高まります。
出典:Kaneita Y, Ohida T, Uchiyama M, Takemura S, Kawahara K, Yokoyama E, Miyake T, Harano S, Suzuki K, Fujita T. The relationship between depression and sleep disturbances: a Japanese nationwide general population survey. J Clin Psychiatry. 2006 Feb
【心臓疾患と睡眠時間の相関関係】
このグラフは、心臓疾患の中でも、冠動脈性心疾患について調査したグラフです。冠動脈性心疾患とは、虚血性心疾患とも呼ばれ、「狭心症」と「心筋梗塞」の2つの病態があります。
心筋の酸素不足により胸痛発作が起こる病気です。動脈が硬くなることでで血管の内側が狭くなり、心筋へ運ばれる血液の量が減少したり、血流が途絶えることによって、心筋が必要とする酸素量と動脈血からの運ばれる酸素量のバランスが崩れ虚血状態となり、心筋は酸素不足に陥ります。その結果発作が発生します。
出典:Ayas NT, White DP, Manson JE, et al. A Prospective Study of Sleep Duration and Coronary Heart Disease in Women. Arch Intern Med. 2003;163(2):205–209.
【糖尿病HbA₁cと睡眠時間の相関関係】
AbA₁cとは、赤血球中のヘモグロビンにぶどう糖が結合したものです。この割合が高いほど高血圧といえます。
出典:Hiromi Nakajima,at al.Association between sleep duration and hemoglobin A1c level,Sleep Medicine.2007
病気や死亡率が低い睡眠時間は6.5~8時間
睡眠時間には、個人差はありますが、目安として6時間半~8時間が様々な病気や死亡率が低いことが分かりました。
睡眠時間を短くすると他にも高血圧や免疫が落ちて風邪にかかりやすくなります。
お仕事や家事などやることがあってどうしても睡眠不足になってしまうものです。
今一度作業効率や、夜のスマホを控えるといった小さいところから睡眠時間を確保してみてください。
上級睡眠健康指導士である私が、睡眠に関するお悩みも受け付けております。どうぞお気軽にご連絡ください。
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